北方謙三原作映画「逃がれの街」(1983) [映画]
ハードボイルド作家北方謙三の小説が原作の映画「逃がれの街」(1983)が好きでもう何回も見ている。
今日本映画専門チャンネルで放送しているので見直したけどやっぱりいいな。
まず音楽がしぶい。主題歌、挿入歌を歌うのは柳ジョージ。この歌が入ってるアルバムがあることを知ってアマゾンでチェックしてみたら中古しかなくてしかも高かったよ。
まず主人公が冤罪になったことですべてが狂いはじめる。主演の水谷豊はこのとき31歳くらい。
すごい筋肉してるけど劇中ではそんなに強くない設定で元ボクサー役の阿藤海にボコられヤクザの財津一郎(強そう)にもめちゃくちゃにされる・・・
仕事も女も失った豊の暴走が始まる!
財津一郎の勝ち割られた頭から流れ出る血で真っ赤な噴水が噴出すシーンが強烈。そこから死への逃避行がはじまる。
ちょっと強引だけど弟分・松本新助が死ぬのも悲しい。後半はほとんど救いがない展開でつらい。
「逃れの町」とは聖書では過失で殺人を犯してしまった人が復讐から逃れて安全に住むことを保証された町のこと、みたいだけどこの映画では逃れの町までは逃れられず射殺されてしまう・・・
「わが青春の黒沢明 」植草 圭之助 [本]
黒沢明と幼馴染だった著者植草 圭之助の自叙伝的作品「わが青春の黒沢明 」読む。
戦争前後の自分の日本の様子や自分の人生、そして黒沢明との交流をつづった内容。けっして黒沢と親友のような関係でなく正反対の著者から見た黒沢への尊敬と嫉妬が混じった気持ちを正直に書いている。
空襲の様子も詳しく述べられているけどさすがに当事者の見た風景はリアル。大空襲で公園に逃げ延びて生き残った夫婦や恋人たちがそこらじゅうで交わっている場面の描写が印象的。
読みどころは脚本家だった作者が書いた「素晴らしき日曜日」の脚本を黒沢明が映画になったときの演出を語るくだり。しなりをより効果的に見せるためのアイデアがばんばん出てくる!やはり・・・すごい!
一組の貧乏カップルの1日を描いた地味な脚本が演出というスパイスを振り掛けれて名作に変わっていく黒沢マジック。
続く自作「酔いどれ天使」の共同執筆の様子も興味深く読めました。
そして一時的に濃い時間を共有した二人だがそれ以後交わることがなかったところがしみじみとせつない。
がぜんほかの黒沢本が読みたくなってくる!