「マイノリティーの拳 世界チャンピオンの光と闇」林壮一 [本]
去年末に読んだ本、林壮一という人が書いたノンフィクション「マイノリティーの拳 世界チャンピオンの光と闇」がよかった。
ヘビー級のボクシング世界チャンピオンといえば引退後もある程度裕福な暮らしをしてるんじゃないかなと思いきや全然違っていた。
正確には違う人たちもうた・・・という内容。
マイノリティーは少数派という意味でアメリカでは白人以外の有色人種を指す言葉だそうです。
重量級の世界王者になる人種はほぼ黒人で貧困や差別から拳ひとつでのし上がったはずだったけど結局そこでも差別され、利用され続けたという元王者たちを作者が取材しているのですが想像以上に生活に困っています。電気代が払えずランプで暮らしてたり・・・
彼らのコメントがすべてを物語る。
「ボクシングをやってよかったことなんてひとつもない。汚い野郎にいいように使われてボロボロの体だけが残った。」
「確かに世界王者になったけど結局俺は奴隷に過ぎなかったさ。搾取されて搾取されて、一体誰のために戦ったのかわからない・・・」
そして体を壊して引退したのにわずかな金のためにかませ犬としていまだにリングに上がり続けてたりする・・・
もちろんそんな人ばかりじゃなくフォアマンやハグラーら引退後も違う世界でがんばってる人間も紹介されてていいこと言ってるのですがそうでないボクサーたちのインパクトが強いのでちょっとかすんでしまう。
タイソンをあらわす文章もせつなかった。
「かつてアイアン(鉄の男)と呼ばれた男は錆突き、スクラップ・メタル(鉄くず)となってしまったのだ。」と。
表紙の写真がかなりかっこよく、かつ内容をしっかりあらわしててすばらしいです。
2010-01-03 16:10
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